むかし、眼の病いで悩んでいる男がいました。医者にもかかりましたが、なかなか冶りません。男は村人から、「新谷の石地蔵さまは病気を治してくれる。」という話を聞きました。男は眼を治したい一心で新谷の地蔵さまをたずね、ようやくたどりつきました。地蔵さまの前にひざまずき、祈りをささげていたときです。ピカッ 地蔵さまの右の眼が、一瞬光ったのです。「これはお地蔵さまのご利益に違いない。」こう思った男は、お地蔵さまの右の眼のあたりを少しくだいて、自分の眼にあてがってみました。なんと、あれほどなやんでいた眼の病いが治ってしまったのです。「お地蔵さま、ありがとうござんした。」男は何回も深くおじぎをして帰っていきました。
この話が村人の間に広まると、ますます有名になり、「鼻や耳などの病気も治してくれる。」ということで、遠いところからも来るようになりました。みんなが地蔵さまの眼や鼻や耳などをけずりとっていったので、いまは顔の形もなくなってしまいました。このお地蔵さまは、弘法大師が栃木県にある大谷観音を刻んだとき、いっしょに作ったものといわれています。お地蔵さまのあるところは、廃寺になった常竜寺の境内で、お地蔵さまはいまも山の中に静かに立っています。
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