○常陸大宮市患者等搬送事業の指導及び認定に関する要綱
平成29年12月28日
消防本部訓令第42号
目次
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 指導基準(第3条―第13条)
第3章 乗務員の講習等(第14条・第15条)
第4章 認定等(第16条―第27条)
第5章 雑則(第28条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この要綱は,患者等の生命及び身体の安全を守るため,民間による患者等搬送事業者に対し,必要な指導を行うとともに,一定の基準に適合する患者等搬送事業者の認定を行うことに関し必要な事項を定めるものとする。
(1) 患者等 寝たきりの者,身体障害者,傷病者等をいう。
(2) 患者等搬送事業 患者等を医療機関,社会福祉施設等へ搬送するために必要な構造又は設備を備えた専用自動車(以下「患者等搬送用自動車」という。)を使用し,患者等を搬送する事業をいう。
(3) 患者等搬送事業者 患者等搬送事業を行う事業所の経営者又は管理責任者をいう。
(4) 乗務員 患者等搬送用自動車に乗務し,患者等搬送事業に係る業務(以下「患者等搬送業務」という。)に従事する者をいう。
(5) 患者等搬送用自動車(車椅子専用) 患者等搬送用自動車のうち,車椅子のみを固定できる専用自動車をいう。
第2章 指導基準
(指導)
第3条 消防長は,管轄区域内の患者等搬送事業者に対し,本章に定める指導基準(以下「指導基準」という。)に基づき,必要な指導を行うものとする。
(患者等搬送事業の基本原則)
第4条 患者等搬送事業者は,患者等からの搬送依頼の適正な処理及び患者等の搬送技能の向上に努めなければならない。
2 患者等搬送事業者は,生命に危険があり,又は症状が悪化すると認められ,緊急に医療機関その他の場所に搬送しなければならない患者等を搬送の対象としてはならない。
3 患者等搬送事業者は,患者等搬送事業の社会的責任を十分に自覚し,関係法令を遵守しなければならない。
(消防機関との連携)
第5条 患者等搬送事業者は,次の各号のいずれかに該当する場合は,患者等の所在する場所,状態,既往症,掛かり付けの医療機関等を消防機関に通報し,救急自動車の出動を要請するものとする。
(1) 患者等からの搬送依頼を受けた時点において,緊急に医療機関に搬送する必要があると認めたとき。
(2) 患者等からの依頼場所に到着した時点において,緊急に医療機関に搬送する必要があると認めたとき。
(3) 患者等を搬送する途上において,緊急に医療機関に搬送する必要があると認めたとき。
2 患者等搬送事業者は,前項第1号に該当する場合は,乗務員を当該患者等の所在する場所に派遣するものとする。
2 乗務員は,患者等搬送業務に従事するときは,適任証を携行しなければならない。
(運行体制)
第7条 患者等搬送事業者は,患者等搬送用自動車1台につき2名以上の乗務員をもって患者等搬送業務を行わせなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当する場合は,乗務員を1名とすることができる。
(1) 医師,看護師又は救急救命士が同乗するとき。
(2) 退院を目的とした搬送のとき。
(3) 医師の指示によりあらかじめ日を特定した入院,転院又は通院を目的とした搬送のとき。
(4) 社会福祉施設,保養施設等への送迎のとき。
(5) 患者等搬送用自動車(車椅子専用)による搬送のとき。
2 患者等搬送事業者は,前項第5号に該当する場合において,搬送中に患者等の容態が急変する可能性が高いと認められるときは,医師等を同乗させ,又は乗務員を2名以上同乗させる等,必要な体制を確保しなければならない。
(患者等搬送用自動車の要件)
第8条 患者等搬送用自動車は,次に掲げる構造及び設備を有するものとする。
(1) 十分な緩衝装置を有するものであること。
(2) 換気及び冷暖房の装置を有するものであること。
(3) 乗務員が患者等搬送業務を実施するために必要なスペースを有するものであること。
(4) ストレッチャー及び車椅子(患者等搬送用自動車(車椅子専用)においては車椅子)を使用したまま確実に固定できる構造であること。
(5) 車椅子の乗降を容易にするための装置を有すること。
(6) 携帯が可能な通信機器等の設備を有すること。
2 患者等搬送用自動車には,別表第1に掲げる資器材を積載するものとする。
3 患者等搬送用自動車は,サイレン,赤色灯等を装備する等,救急自動車と紛らわしい外観とならないよう留意しなければならない。
(消毒の実施)
第9条 患者等搬送事業者は,患者等搬送用自動車及び積載資器材の消毒を行うときは,消毒の実施要領(別表第2)により毎月1回以上の定期消毒及び毎使用後の消毒を実施するものとする。ただし,医師から消毒について特別な指示があったときは,当該指示に基づき適正な消毒を実施するものとする。
(衛生管理等)
第10条 患者等搬送事業者は,患者等搬送用自動車及び積載資器材の点検整備を確実に行い,清潔の保持に努めなければならない。
2 乗務員の服装は,患者等搬送業務にふさわしいものとし,清潔の保持に努めなければならない。
(応急手当の実施)
第11条 乗務員は,患者等搬送業務を行うときは,患者等の症状の悪化防止に万全を期すとともに,搬送途上において当該患者等の症状悪化等により,緊急かつやむを得ないと認めるときは,医師等の指示を求める等,必要な応急的措置を講じるものとする。
(知識及び技術の維持管理)
第12条 患者等搬送事業者は,乗務員の患者等の安全搬送に関する知識の習得及び技術の向上に努めるものとする。
2 患者等搬送事業者は,乗務員に対して2年に1回以上,第14条に規定する患者等搬送乗務員定期講習を受講させなければならない。
(事業案内)
第13条 患者等搬送事業者は,患者等搬送事業に係るパンフレット等の案内を作成するときは,救急隊と同様の活動ができるとの認識を与えるような表現を用いてはならない。
第3章 乗務員の講習等
(講習の実施)
第14条 消防長は,患者等搬送業務に必要な知識,技術等の習得及び向上のため,講習実施基準(別表第3)により患者等搬送乗務員基礎講習及び患者等搬送乗務員定期講習を実施するものとする。ただし,他の消防機関と共同して実施し,又は他の団体に委託して実施することができる。
(適任証の交付等)
第15条 消防長は,次の各号に掲げる者に対し,適任証を交付するものとする。
(1) 患者等搬送乗務員基礎講習を修了した者
(2) 前号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有するものと消防長が認めた者(以下「特例適任者」という。)
2 特例適任者の認定を受けようとする者は,特例適任者申請書(様式第4号)により消防長に申請するものとする。
3 消防長は,適任証を交付したときは,適任証交付等記載簿(様式第5号)に記載し,適正に管理するものとする。
4 適任証の有効期間は,2年間とする。ただし,患者等搬送乗務員定期講習を受けた者については,さらに2年間有効とし,それ以降も同様とする。
5 適任証の交付を受けた者は,適任証を亡失し,又は滅失したときは,適任証再交付申請書(様式第6号)により消防長に再交付を申請するものとする。
第4章 認定等
(認定)
第16条 消防長は,指導基準に適合すると認めた患者等搬送事業者に対し,患者等搬送事業の認定(以下「認定」という。)をするものとする。
(認定対象)
第17条 認定の対象となる患者等搬送事業者は,市内に事業所を有しており,次に掲げる道路運送法(昭和26年法律第183号)の許可等を有する者とする。
(1) 一般乗用旅客自動車運送事業の許可
(2) 一般貸切旅客自動車運送事業の許可
(3) 特定旅客自動車運送事業に許可
(4) 自家用有償旅客運送の登録
(認定マークの交付)
第19条 消防長は,前条の規定により認定した患者等搬送事業者(以下「認定事業者」という。)に対し,患者等搬送事業者認定マーク(別図第1)及び患者等搬送用自動車認定マーク(別図第2)(以下これらを「認定マーク」という。)を交付するものとする。
4 認定事業者は,認定マークを亡失し,又は滅失したときは,認定マーク再交付申請書(様式第14号)により消防長に再交付を申請するものとする。
(認定の有効期間)
第20条 認定の有効期間は,認定を受けた日の翌日から起算して5年間とする。
(認定の更新)
第21条 認定事業者は,認定の有効期間の満了後も引き続き認定を受けようとするときは,当該認定の有効期間が満了する日の1月前から満了する日までの間に消防長に更新の申請をするものとする。
(事業内容の変更等)
第22条 認定事業者は,患者等搬送事業の内容に変更が生じたときは,患者等搬送事業内容変更届(様式第15号)により消防長に届け出るものとする。
2 認定事業者は,患者等搬送事業の全部若しくは一部を休止し,又は廃止しようとするときは,患者等搬送事業休廃止届(様式第16号)により消防長に届け出るものとする。
(認定の取消し)
第23条 消防長は,認定事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,認定を取り消すことができる。
(1) 指導基準を遵守しないとき。
(2) 患者等搬送業務の遂行に当たって,故意又は過失により重大な事故を発生させたとき。
(3) その他認定を継続することが不適当と認めたとき。
(認定の失効)
第24条 認定事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,認定はその効力を失うものとする。
(1) 道路運送法に定めるところにより,第17条各号に掲げる国土交通大臣の許可等が取り消され,又は失効したとき。
(2) 患者等搬送事業を廃止したとき。
(認定マークの返納)
第25条 認定事業者は,前2条の規定により認定が取り消され,又は失効したときは,認定マークを消防長に返納しなければならない。
(特異事案の報告)
第26条 認定事業者は,患者等の搬送中に応急処置を実施し,若しくは救急自動車を要請したとき又は患者等搬送業務の遂行に支障を及ぼす重大な事故を発生させたときは,速やかに,特異事案報告書(様式第17号)により消防長に報告するものとする。
(認定事業者の調査)
第27条 消防長は,少なくとも年1回以上,認定事業者に対して,指導基準の履行状況について調査するものとし,不適事項があると認めたときは,認定事業者に対して適切な指導を行うものとする。
第5章 雑則
(補則)
第28条 この要綱に定めるもののほか,必要な事項は,消防長が別に定める。
附則
この消防本部訓令は,平成30年1月1日から施行する。
附則(令和3年消防本部訓令第5号)
この訓令は,令和3年10月1日から施行する。
別表第1(第8条関係)
患者等搬送用自動車に積載する資器材
項目 | 患者等搬送用自動車 | 患者等搬送用自動車(車椅子専用) |
1 呼吸管理用資機材 | バックバルブマスク ポケットマスク | *バックバルブマスク ポケットマスク |
2 保温及び搬送用資器材 | 敷物 保温用毛布 担架 まくら | *敷物 保温用毛布 担架 *まくら |
3 創傷等保護用資器材 | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう | 三角巾 ガーゼ 包帯 タオル ばんそうこう |
4 消毒用資器材(車両資器材用) | 噴霧消毒器 各種消毒薬 | 噴霧消毒器 各種消毒薬 |
5 その他の資器材 | はさみ マスク ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 *AED | はさみ マスク *ピンセット 手袋 膿盆汚物入れ 体温計 *AED |
備考 「*」の印を付した資器材の積載は,任意とする。
別表第2(第9条関係)
消毒の実施要領
1 定期消毒
区分 | 実施内容 |
資器材 | 1 流水による洗浄 2 消毒,殺菌 |
車内 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で水洗いを避けなければならない場合は,清拭と消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行う。 2 実施時には,使い捨てのビニール手袋等を着装すること。 |
2 使用後の消毒
区分 | 実施内容 | |
血液,嘔吐等による汚染を受けた場合 | 左記以外の汚染の場合 | |
乗務員 | 1 手指の消毒は,前腕部を含めて流水により行い,血液や汚染等の付着がある場合は,特に入念に洗浄した後,消毒用薬剤を行うものとする。 2 口腔内の消毒は,手指を洗浄した後,うがい薬等により行うこと。 | |
資器材 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 3 消毒,殺菌 | 1 流水による洗浄 2 消毒,殺菌 |
車内 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭,噴霧消毒 | 1 流水による洗浄 2 消毒剤による清拭 |
備考 | 1 車内で水洗いを避けなければならない場合は,清拭と消毒用薬剤噴霧による殺菌消毒を行う。 2 実施時には,使い捨てのビニール手袋等を着装すること。 |
別表第3(第14条関係)
講習実施基準
1 患者等搬送乗務員基礎講習
講習内容 | 項目 | 時間数 | |
患者等搬送乗務員基礎講習 | 患者等搬送乗務員基礎講習(車椅子専用) | ||
1 総論 | 1 | 1 | |
2 観察要領及び応急措置(一定頻度者が受講する講習と同等の内容を含む。) | 13 | 9 | |
3 体位管理要領 | 2 | 1 | |
4 消防機関との連携要領 | 2 | 2 | |
5 車両資器材の消毒及び感染防止要領 | 2 | 1 | |
6 搬送法 | 2 | 1 | |
7 効果測定 | 2 | 1 | |
講習時間(合計) | 24時間 | 16時間 | |
講師及び教材 | 実施者が定める | ||
備考 1 消防長が必要と認める場合は,講習内容,講習時間等を変更することができる。 2 講習時間の1時間は,45分とする。 3 基礎講習の効果測定は,合計100点の配点で実施し,80点以上の得点をもって合格とする。 |
2 患者等搬送乗務員定期講習
講習内容 | 項目 | 時間数 |
1 観察要領及び応急措置 | 2 | |
2 体位管理要領 | 1 | |
講習時間(合計) | 3時間 | |
講師及び教材 | 実施者が定める | |
備考 1 消防長が必要と認める場合は,講習内容,講習時間等を変更することができる。 2 講習時間の1時間は,45分とする。 |