○常陸大宮市債権管理条例

令和4年9月30日

条例第19号

(目的)

第1条 この条例は,市の債権管理に関して必要な事項を定めることにより,市の債権管理の適正化を図り,もって公正かつ円滑な行財政運営に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 市の債権 金銭の給付を目的とする市の権利をいう。

(2) 市税 市の債権のうち,地方税法(昭和25年法律第226号)の規定に基づく徴収金に係る債権をいう。

(3) 公債権 市の債権のうち,地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第231条の3第1項の分担金,使用料,加入金,手数料,過料その他の普通地方公共団体の歳入に係る債権をいう。

(4) 強制徴収公債権 公債権のうち,法第231条の3第3項その他法律の規定に基づき,国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができる債権をいう。

(5) 私債権 市の債権のうち,市税及び公債権以外の債権をいう。

(6) 非強制徴収債権 公債権のうち,強制徴収公債権以外のもの及び私債権をいう。

(7) 債権管理者 市長及び公営企業の管理者の権限を行う者をいう。

(他の法令等との関係)

第3条 市の債権の管理については,法令又は他の条例若しくはこれに基づく規則(地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する企業管理規程を含む。以下「法令等」という。)に特別の定めがある場合を除くほか,この条例の定めるところによる。

(債権管理者の責務)

第4条 債権管理者は,法令等又はこの条例の定めるところにより市の債権を適正に管理しなければならない。

(台帳の整備)

第5条 債権管理者は,市の債権を適正に管理するため,規則で定めるところにより台帳(電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によって認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)を備えなければならない。ただし,当該市の債権の性質上特に必要がないと認めるときは,この限りでない。

(債務者に関する情報の共有)

第6条 債権管理者は,市の債権について,履行期限までに履行されていないものがある場合において,当該市の債権に関する事務を効率的に行う必要があると認めるときは,当該事務の遂行に必要な範囲で,当該市の債権に係る債務者の情報(地方税法第22条に該当する情報を除く。)を,保有するに当たって特定された利用の目的を超えて利用し,又は提供することができる。

2 債権管理者は,前項の規定により利用し,又は提供された情報を当該市の債権管理に関する事務以外の事務に利用してはならない。

3 債権管理者は,第1項の規定により利用し,又は提供された情報を当該市の債権管理に関する事務に利用する場合は,債務者及び第三者の権利利益を不当に侵害することのないようにしなければならない。

(督促)

第7条 債権管理者は,市の債権について,履行期限までに履行しない者があるときは,期限を指定してこれを督促しなければならない。

(滞納処分等)

第8条 債権管理者は,市税及び強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予,換価の猶予及び滞納処分の停止については,法令の定めるところによりこれを行わなければならない。

(強制執行等)

第9条 債権管理者は,非強制徴収債権について,第7条の規定により指定した履行期限後,規則で定める期間を経過してもなお履行されないときは,次に掲げる措置をとらなければならない。ただし,第12条の規定により徴収停止の措置をとる場合又は第13条の規定により履行期限を延長する場合その他債権管理者が特別の事情があると認める場合は,この限りでない。

(1) 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを含む。)については,当該非強制徴収債権の内容に従い,その担保を処分し,若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり,又は保証人に対して履行を請求すること。

(2) 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取得したものを含む。)については,強制執行の手続をとること。

(3) 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴収債権で同号の措置をとってなお履行されないものを含む。)については,訴訟手続(非訟事件の手続を含む。)により履行を請求すること。

(履行期限の繰上げ)

第10条 債権管理者は,市の債権について,履行期限を繰り上げることができる理由が生じたときは,遅滞なく,債務者に対し,履行期限を繰り上げる旨の通知をしなければならない。ただし,第13条第1項各号のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は,この限りでない。

(債権の申出等)

第11条 債権管理者は,市の債権について,債務者が強制執行又は破産手続開始の決定を受けたこと等を知った場合において,法令の定めるところにより市が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができるときは,直ちに,そのための措置をとらなければならない。

2 前項に規定するもののほか,債権管理者は,市の債権を保全するため必要があると認めるときは,債務者に対し,規則で定める措置をとらなければならない。

(徴収停止)

第12条 債権管理者は,非強制徴収債権で履行期限後,規則で定める期間を経過してもなお完全に履行されないものについて,次の各号のいずれかに該当し,かつ,これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認められるときは,以後その保全及び徴収をしないことができる。

(1) 法人である債務者がその事業を休止し,将来その事業を再開する見込みが全くなく,かつ差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるとき。

(2) 債務者の所在が不明であり,かつ,差し押さえることができる財産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これに類するとき。

(3) 債権金額が少額で,取立てに要する費用に満たないと認められるとき。

(履行延期の特約等)

第13条 債権管理者は,非強制徴収債権について,次の各号のいずれかに該当する場合においては,その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において,当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。

(1) 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。

(2) 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,その現に有する資産の状況により,履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。

(3) 債務者について災害,盗難その他の事故が生じたことにより,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため,履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。

(4) 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る非強制徴収債権について,債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり,かつ,弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。

(5) 貸付金に係る非強制徴収債権について,債務者が当該貸付金の使途に従って第三者に貸付けを行った場合において,当該第三者に対する貸付金に関し,第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があることその他特別の事情により,当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため,当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。

2 債権管理者は,履行期限後においても,前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては,既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(次条及び第15条において「損害賠償金等」という。)は,徴収すべきものとする。

(債務の免除)

第14条 債権管理者は,前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状態にあるため履行期限を延長する特約又は処分をした非強制徴収債権について,当初の履行期限(当初の履行期限後に履行期限を延長する特約又は処分をした場合は,最初に履行期限を延長する特約又は処分をした日)から10年を経過した後において,なお,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,かつ,弁済することができる見込みがないと認められるときは,当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。

2 前項の規定は,前条第1項第5号に掲げる理由により履行期限を延長する特約をした貸付金に係る債権で,同号に規定する第三者が無資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行期限を延長する特約をしたものについて準用する。この場合における免除については,債務者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなければならない。

(債権の放棄)

第15条 債権管理者は,非強制徴収債権について,次の各号のいずれかに該当する場合においては,当該非強制徴収債権及びこれに係る損害賠償金等の債権を放棄することができる。

(1) 債務者が著しい生活困窮状態(生活保護法(昭和25年法律第144号)の適用を受け,又はこれに準ずる状態をいう。)にあり,資力の回復が困難で,当該非強制徴収債権について弁済することができる見込みがないと認められるとき。

(2) 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項,会社更生法(平成14年法律第154号)第204条第1項その他の法令の規定により,債務者が当該非強制徴収債権についてその責任を免れたとき。

(3) 第9条の規定による強制執行等又は第11条の規定による債権の申出等の措置をとったにもかかわらず,なお完全に履行されなかった場合において,債務者が無資力又はこれに近い状態にあり,資力の回復が困難で,履行の見込みがないと認められるとき。

(4) 第12条の規定により徴収停止を行った場合において,規則で定める期間を経過した後においても,なお同条各号のいずれかに該当し,これを履行させることが困難又は不適当と認められるとき。

(5) 債務者が死亡し,その相続について限定承認があった場合,相続人全員が相続放棄した場合又は相続人が存在しない場合において,その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに他の優先して弁済を受ける市の債権及び市以外の者の権利の合計額を超えないと認められるとき。

(6) 当該非強制徴収債権(消滅時効について時効の援用を要するものに限る。)について,消滅時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理由があるときを除く。)

(7) 債務者が失踪,所在不明その他これに準ずる事情にあり,徴収の見込みがないとき。

2 市長は,前項の規定により非強制徴収債権を放棄したときは,これを議会に報告するものとする。

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。

この条例は,令和4年10月1日から施行する。

常陸大宮市債権管理条例

令和4年9月30日 条例第19号

(令和4年10月1日施行)