○常陸大宮市太陽光発電設備の設置と地域環境との調和に関する条例
令和6年12月23日
条例第32号
(目的)
第1条 この条例は,太陽光発電設備の適正な設置及び管理に関し必要な事項を定めることにより,本市の豊かな自然環境,美しい景観及び安全安心な生活環境の保全と太陽光発電設備との調和を図ることを目的とする。
(1) 太陽光発電設備 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第2項の再生可能エネルギー発電設備のうち,同条第3項第1号の太陽光を再生可能エネルギー源とするもの及びその附属設備をいう。
(2) 発電事業 太陽光発電設備を利用し発電を行う事業をいう。
(3) 設置事業 太陽光発電設備を設置(増設及び改修を含む。)する事業及び森林の伐採,土地の形質の変更その他の太陽光発電設備を設置するために必要な工事を行う事業をいう。
(4) 事業区域 設置事業及び発電事業を行う一団の土地(太陽光発電設備に附属する管理施設,変電施設,緩衝帯等に係る土地を含む。)であって,柵塀等の工作物の設置その他の方法により当該土地以外の土地と区別された区域をいう。ただし,次に掲げる区域については,一体の区域とみなし,事業区域に含めるものとする。
ア 連接する土地であって,樹木の伐採,土地の造成等による区画形質の変更を同時に行う土地の区域
イ 設置事業の実施に当たり,関係する法令等の許可,認可等を同時に受ける土地の区域
ウ 物理的形状,所有者又は事業者の形態によって一体利用と認められる区域
(5) 事業者 設置事業又は発電事業を行う者をいう。
(6) 周辺関係者 太陽光発電設備の設置に関し,その理解を得る必要がある事業区域の境界線から規則で定める範囲の区域に居住し,又は建物若しくは土地を所有し,占有し,若しくは管理する者をいう。
(市の責務)
第3条 市は,第1条の目的を達成するため,この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講ずるものとする。
(土地所有者等の責務)
第4条 土地の所有者及び占有者は,良好な自然環境,景観若しくは生活環境を損ない,又は災害の発生を助長するおそれのある事業者に対し,当該土地を使用させることのないように努めなければならない。
2 土地の所有者及び占有者は,設置事業により,良好な自然環境若しくは景観を損ない,又は生活環境への被害若しくは災害等が発生することのないよう,事業区域を適正に管理しなければならない。
3 土地の所有者は,事業者が,発電事業を終了した場合,発電事業を廃止した場合又は発電事業の中止を命じられた場合において,当該事業区域について太陽光発電設備の除却その他必要な措置を講じないときは,当該事業区域について太陽光発電設備の除却その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は,太陽光発電設備の設置に当たっては,この条例のほか,設置事業及び発電事業に関係する法令等を遵守するとともに,良好な自然環境,景観及び生活環境の保全並びに災害の防止に十分に配慮し,周辺関係者との良好な関係の保持に努めなければならない。
2 事業者は,第8条に定める区域において設置事業及び発電事業を行わないよう努めなければならない。
3 事業者は,地域との共生に支障を生じさせないよう太陽光発電設備の適切な管理に努めなければならない。
(適用範囲)
第6条 この条例の規定は,発電出力が10キロワット以上の事業用の太陽光発電設備について適用する。ただし,当該太陽光発電設備を建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物に設置する場合を除く。
(禁止区域)
第7条 市長は,災害の防止並びに良好な景観及び生活環境を保全するため,特に必要と認められる区域を発電事業の禁止区域として,規則で定めるところにより,指定するものとする。
(抑制区域)
第8条 市長は,良好な自然環境,景観及び生活環境の保全並びに災害の防止のため,特に配慮が必要と認められる区域を発電事業の抑制区域として,規則で定めるところにより,指定するものとする。
2 市長は,事業者に対し,前項の規定により指定した抑制区域を事業区域に含めないよう求めることができる。
(事業の制限)
第9条 事業者は,常陸大宮市暴力団排除条例(平成24年常陸大宮市条例第17号)第2条に規定する暴力団,暴力団員及び暴力団員等(以下この条において「暴力団等」という。)又は暴力団等と関係を有するもの若しくは暴力団等がその事業活動を支配するものに該当する場合は,設置事業及び発電事業を行うことができない。
(事前協議)
第10条 事業者は,第12条の許可の申請をしようとするときは,規則で定めるところにより,事業計画について市長と協議しなければならない。
2 市長は,前項の規定による協議があったときは,事業者に対し,必要な指導又は助言をすることができる。
(説明会の開催等)
第11条 事業者は,前条第1項の規定による協議が終了したときは,周辺関係者に対し,事業計画の周知を図るため,事業区域の公衆の見やすい場所に,その概要を示す標識を設置するとともに,その理解を得るため,あらかじめ当該事業計画に関する説明会を開催の上,周辺関係者からの意見を集約して合意形成を図るよう努めなければならない。ただし,周辺関係者の意見を聴き,説明会を開催する必要がないと市長が認めるときは,これを省略することができる。
2 事業者は,前項の説明会を行った結果,周辺関係者からの意見の申出があったときは,規則で定めるところにより,その者と協議しなければならない。
(設置事業の許可)
第12条 事業者は,次の各号のいずれかに該当するときは,設置事業に着手する日の30日前までに,規則で定めるところにより,市長に申請し,その許可を受けなければならない。
(1) 次のいずれかに該当する太陽光発電設備を設置しようとするとき。
ア 発電出力50キロワット以上のもの
イ 事業区域面積が500平方メートル以上のもの
ウ 地上高が最大4メートル以上のもの
(2) 抑制区域内に10キロワット以上の太陽光発電設備を設置しようとするとき。
(1) 事業区域に禁止区域を含まないこと。
(2) 自然環境を害するおそれがないものとして規則で定める基準に適合していること。
(3) 景観を阻害するおそれがないものとして規則で定める基準に適合していること。
(4) 設置事業の完了時における事業区域の高さ,法面の勾配,造成を行う面積等の造成計画が規則で定める基準に適合していること。
(5) 排水施設,擁壁その他の施設が規則で定める基準に適合していること。
(6) 地形及び地質の状況に応じ配慮すべき事項又は講ずべき措置が規則で定める基準に適合していること。
(7) 道路,河川,水路その他の公共施設の構造,管理等に支障を来すおそれがないこととして規則で定める基準に適合していること。
(8) 太陽光の反射,騒音等による生活環境に対する被害を防止するための措置その他周辺関係者の生活環境を保全するための措置が規則で定める基準に適合していること。
(9) 設置する太陽光発電設備が電気事業法(昭和39年法律第170号),再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法その他関係する法令の基準に適合していること。
(10) 市の総合計画,環境基本計画その他の計画(国又は茨城県が策定する計画であって,本市に適用があるものを含む。)に適合していること。
2 市長は,設置許可の申請をした事業者又は当該申請に係る工事の施行者が事業計画を実施するために必要な資力及び信用を有すると認められないときは,設置許可をしないことができる。
3 市長は,設置許可をする場合において,必要があると認めるときは,条件を付すことができる。
4 市長は,設置許可の申請のあった事業計画が他の地方公共団体の区域の生活環境等に影響を及ぼすおそれがあると認めるときは,関係する他の地方公共団体の長に対し,その旨を通知し,意見を求めることができる。
(変更の許可)
第14条 設置許可を受けた事業者は,その許可に係る事項を変更しようとするときは,あらかじめ規則で定めるところにより,市長の許可を受けなければならない。ただし,規則で定める軽微な変更をしたときは,変更後,遅滞なく,市長に届け出ることをもって足りる。
(申請の取下げ)
第15条 事業者は,設置許可又は変更許可の申請を取り下げようとするときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
(設置事業の着手及び届出)
第16条 設置許可又は変更許可(以下「設置許可等」という。)を受けた事業者(以下「許可事業者」という。)は,設置事業に着手しようとするときは,規則で定めるところにより,当該事業に着手しようとする日の10日前までに市長に届け出なければならない。
2 許可事業者は,設置事業を中断し,再開し,廃止し,又は完了したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
(現地確認)
第17条 市長は,前条第2項の規定による設置事業の廃止又は完了の届出(以下「完了届等」という。)があったときは,現地確認を行うものとする。
2 市長は,前項の現地確認を行った結果,設置許可等又は完了届等の内容に相違等があったときは,当該許可事業者に対して説明を求めることができる。
(事業許可対象外の設置事業に係る届出)
第18条 第12条各号の規定に該当しない太陽光発電設備を設置しようとする事業者は,設置事業に着手する日の30日前までに,規則で定めるところにより,事業計画その他の書類を市長に届け出なければならない。
3 市長は,設置届出があったときは,その内容を精査し,第1条の目的を達成することが困難であると判断したときは,当該事業計画等の見直しを行うよう協力を求めることができる。
4 設置届出をした事業者は,その届出に係る事項を変更しようとするときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
(発電事業の開始)
第19条 発電事業を行う事業者(以下「発電事業者」という。)は,発電事業の運用を開始したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
2 発電事業者は,発電事業開始後に,土地の所有者に変更が生じたときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
(標識の設置)
第20条 発電事業者は,太陽光発電設備の稼働期間中,事業区域内の見やすい場所に,規則で定める事項を記した標識を設置しなければならない。
(太陽光発電設備の維持管理)
第21条 発電事業者は,発電事業を実施する間,生活環境等の保全又は災害の防止に関し支障が生じないよう,規則で定めるところにより,太陽光発電設備及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう維持管理しなければならない。
2 発電事業者は,太陽光発電設備の稼働状況,保守点検その他維持管理の実施状況について,規則で定めるところにより,毎年1回市長に報告しなければならない。ただし,第12条各号の規定に該当しない太陽光発電設備はこの限りでない。
(異常発生時の対応)
第22条 発電事業者は,自然災害その他の要因により太陽光発電設備の破損又は異常の発生により,市民生活の安全の確保及び生活環境の保全上支障が生じ,又は生じるおそれがあるときは,直ちに現地を確認し,被害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講ずるとともに,規則で定めるところにより,その結果を市長に報告し,及び周辺関係者に周知しなければならない。
(発電事業終了後の適正処分等)
第23条 発電事業者は,発電事業を終了したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に届け出なければならない。
2 発電事業者は,太陽光発電設備を速やかに撤去し,関係法令等に基づき適正に処分するとともに,当該太陽光発電設備を撤去した後の土地について,良好な自然環境,景観及び生活環境の保全並びに災害の防止のために必要な措置を講じなければならない。
3 発電事業者は,太陽光発電設備の撤去及び処分が完了したときは,規則で定めるところにより,速やかに市長に報告しなければならない。
(廃棄等費用の確保等)
第24条 発電事業者は,計画的に資金を積み立てることその他の方法により,次に掲げる費用を確保しなければならない。
(1) 太陽光発電設備の維持管理に要する費用
(2) 太陽光発電設備の解体及び撤去並びにこれに伴い発生する廃棄物の処理をするために必要な費用その他の発電施設の廃止に要する費用
(損害賠償責任保険等への加入)
第25条 事業者は,太陽光発電設備の設置の工事に着手する日から当該太陽光発電設備を廃止する日までの間,当該太陽光発電設備における発電事業の実施に起因して生じた他人の生命又は身体及び財産に係る損害を填補する保険又は共済(以下「損害賠償責任保険」という。)へ加入するよう努めなければならない。ただし,当該太陽光発電設備の設置に係る期間中の損害賠償責任保険への加入にあっては,当該太陽光発電設備の設置の工事の施行者が損害賠償責任保険への加入をすることで足りるものとする。
2 事業者は,災害等による発電事業の途中での修繕,撤去又は処分に備え,火災保険,地震保険その他必要な保険に加入するよう努めなければならない。
(地位の承継の届出)
第26条 相続,売買,法人の合併又は分割,譲受けその他の事由により,事業者の地位を承継した者は,規則で定めるところにより,速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(報告の徴収及び立入調査等)
第27条 市長は,この条例の施行に必要な限度において,事業者に対し,管理の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 市長は,この条例の施行に必要な限度において,当該職員に,事業区域内に立ち入らせ,書類その他の物件を検査させ,又は関係者に質問させることができる。
3 前項の規定により立入調査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者に提示しなければならない。
(助言等)
第28条 市長は,事業者に対し,規則で定めるところにより,第1条の目的達成のために必要な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。
2 市長は,事業者が次の各号のいずれかに該当するときは,当該事業者に対し,必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(1) この条例の規定による申請,届出若しくは報告(以下「届出等」という。)を怠ったとき,又は虚偽の届出等を行ったとき。
(2) 設置許可等を受ける前に太陽光発電設備の設置事業に着手したとき。
(3) 第20条の規定による標識を設置しなかったとき。
(4) 第23条第2項の規定による撤去若しくは処分をせず又は撤去した後の土地について必要な措置を講じなかったとき。
(5) 前条第1項の報告をせず,若しくは虚偽の報告をしたとき。
(7) 前項の助言又は指導に正当な理由なくして従わなかったとき。
(公表)
第29条 市長は,前条第2項の規定により勧告を受けた事業者が当該勧告に従わないときは,当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては,その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに勧告の内容を公表することができる。
2 市長は,前項の規定による公表を行おうとするときは,あらかじめ事業者に対して,その理由を通知し,意見を述べる機会を与えなければならない。
(国又は県への報告)
第30条 市長は,前条第1項の規定により公表を行った後,公表の内容及び事実を国又は県に報告することができる。
(手数料)
第31条 設置許可等の申請をしようとする者は,別表に掲げる手数料を納付しなければならない。
(委任)
第32条 この条例に定めるもののほか,この条例の施行に関し必要な事項は,規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は,令和7年4月1日から施行する。
別表(第31条関係)
手数料の種類 | 単位 | 金額(円) |
1 設置許可申請 | ||
(1) 発電出力が50キロワット未満のもの | 1件 | 13,000円 |
(2) 発電出力が50キロワット以上2,000キロワット未満のもの | 1件 | 28,000円 |
(3) 発電出力が2,000キロワット以上のもの | 1件 | 40,000円 |
2 変更許可申請 | ||
(1) 発電出力が50キロワット未満のもの | 1件 | 6,000円 |
(2) 発電出力が50キロワット以上2,000キロワット未満のもの | 1件 | 15,000円 |
(3) 発電出力が2,000キロワット以上のもの | 1件 | 27,000円 |