有機農業シンポジウムを開催しました

サンプル画像11月5日日曜日、常陸大宮市文化センター小ホールで、有機農業シンポジウムを開催しました。約200名の参加者で満席のなか、各分野で活躍をされている登壇者の皆様から、貴重なお話やご意見をいただきました。このページではシンポジウム開催の様子やパネルディスカッションの内容を抜粋してお知らせします。
また、シンポジウム内では鈴木市長が「オーガニックビレッジ宣言」を行いました。この宣言は、茨城県内の自治体において、初めての宣言になりました。今後は、常陸大宮市有機農業実施計画書に基づき、有機農業の推進を図っていきます。
オーガニックビレッジ宣言についてはこちらから

 

プログラム

  • 講演
    「みどりの食料システム戦略の実現に向けて」農林水産省大臣官房審議官 秋葉一彦氏
    「学校給食におけるオーガニック化の実現について」ノンフィクション作家 島村菜津氏
  • パネルディスカッション
    【ファシリテーター】
    島村菜津氏(ノンフィクション作家)
    【パネリスト】
    舘野廣幸氏(NPO法人民間稲作研究所理事長)、松岡尚孝氏(いばらき有機農業技術研究会会長)、秋山豊氏(常陸農業協同組合代表理事組合長)、秋葉一彦氏(農林水産省大臣官房審議官(技術・環境))、鈴木定幸市長

登壇者コメント

島村菜津氏

サンプル画像スローフードというとファストフード(※)の対極にあると思われるが、そうではない。いろいろな多様性のなかで世界中がファストフード的な大量生産、大量流通になってしまうと、子ども達に選択肢がない。美味しいものが採れる地域で旬のものを手に入れ、子ども達に当たり前に食べさせられる、そういう地域を守ろうというのがイタリアのスローフードの本当の意味。韓国では、市民運動から学校給食の無償化やオーガニック化が始まった。子ども達の食を大事にする地域を地方から作っていきたい。過去にさかのぼると有機農業というとJAと対立軸とされることが多かった。しかし今、常陸大宮市とJA常陸が協力し合って有機農業を推進している様子を間近に見ていると、日本の農業が変わるのではないかと強く感じている。
(※)ファストフード:短時間で料理され食される安価で画一的な食品のこと。

NPO法人民間稲作研究所理事長 舘野廣幸氏

サンプル画像約40年の水稲栽培のうち30年程有機米栽培を行っている。数々の失敗を経験しながら農業に携わっていくなかで、農薬や化学肥料を使うことは、自然に対して余計なことをしているのではないかと考え有機農業を始めた。栽培するなかで自然の働きをできるだけ妨害しないことが一番大事だと思っている。特に、田んぼで害虫駆除の役割を果たしている「蛙」の働きに注目している。流通に関しては、農家が生産した作物は自分で希望小売価格を決めたいという思いもあるので、積極的に農協と話をして自分たちの生活を守るための価格も提示してもらいたいと思う。

いばらき有機農業技術研究会会長 松岡尚孝氏

サンプル画像地球上で一番存在が多いのが菌で、菌がいなくなると地球環境が滅びる、菌との共栄共存関係が植物を育てるともいわれている。昨今は、菌に関する研究が進んでおり、商業化もされているが、できるだけコストを掛けないように、納豆菌や酵母菌、乳酸菌など身近な菌を自分で培養して活用している。大事なことはいかに環境を豊かにするかである。生物多様性(※)について多くの人に知ってもらいたいと考えている。また、栽培技術者という立場でJA茨城県中央会や各JAからも講演会等の依頼があり、確実に有機農業が広まってきていると感じている。
(※)生物多様性:生きものたちの豊かな個性とつながりのこと。これらの生命は一つひとつに個性があり、全て直接に、間接的に支えあって生きている。(引用:環境省ホームページ)

常陸農業協同組合代表理事組合長 秋山豊氏

サンプル画像農家にとっては、作物を高く売り安定した収入を得ることが一番大事。農協はどのように組合員を守っていくか、社会的責任である国民の食料供給をするのかを考えると、市場出荷で価格変動にもまれ、最終的に関税が下がって農業を辞めざるを得ないという道ではなく、地域で安全安心な食料を作り地域の人々に食べてもらうことで、家族経営や中規模経営であっても継続できる地域農業を作りたいと思っていた。そこに三美地区が推進してきた県営畑地帯総合整備事業の基盤整備が完了し営農環境が向上したことで、市と二人三脚で有機という付加価値を付けた農業への挑戦を始めた。昨年度から子会社である(株)JA常陸アグリサポートが生産した有機農産物を常陸大宮市内の学校給食に取り入れてもらっている。

農林水産省大臣官房審議官(技術・環境) 秋葉一彦氏

サンプル画像農林水産省内で十数年前から、持続的な農業について具体的な目標を立てて施策を全部寄せていかなくてはならないのではないかという議論をしていた。その後、様々な議論や関係者への聞き取りを経て、令和3年に「みどりの食料システム戦略」を策定、令和4年に「みどりの食料システム法」を施行した。有機農産物の流通は、市場への一極集中型ではない新しい流通体制を作らないとならいない。流通の多様性が必要と考えている。また、有機農業は農業技術という観点でも科学的で未来がある農業であり、無駄がない農業といえる。国としても有機農業をしっかりと支援していきたい。

鈴木定幸市長

サンプル画像有機農業を推進していくうえで全国ネットワークを持つJAの協力なしには進まない。現在、有機農産物の流通チャンネルが確立されていないなか、有機農産物を生産してくれる農家の所得水準を上げるため、まずは学校給食という形の公共調達として行政が買い上げることを始めた。今後、オーガニック学校給食は必ず広がっていくと確信している。常陸大宮市で生産された有機農産物が近隣の市町村で利用されるような取組を進めたい。それと同時に、保護者へ向けて食育の意識も高めていきたい。有機農業に関わる流通、食育について、行政も一緒に関わっていくことが必要と感じている。

このページの内容に関するお問い合わせ先

農林振興課 農政G

〒319-2292 常陸大宮市中富町3135-6 本庁2階

電話番号:0295-52-1111

メールでお問い合わせをする

アンケート

常陸大宮市ホームページをより良いサイトにするために、皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。
なお、この欄からのご意見・ご感想には返信できませんのでご了承ください。

Q.このページはお役に立ちましたか?
  • 【ID】P-9140
  • 【更新日】2023年11月6日
  • 【アクセス数】
  • 印刷する