常陸大宮市史編さん事業の本格始動に伴い、平成28年9月発行の「広報常陸大宮」から、市史編さんだよりの連載をスタートしました。
常陸大宮市史編さんだよりvol.80
「部垂の乱」シンポジウムとヒストリーツアーを開催
『常陸大宮市史 資料編2 古代・中世』の刊行を記念し、シンポジウム「部垂の乱を考える」、ヒストリーツアー「部垂の乱を歩く」を開催しました。
「部垂の乱」とは、戦国時代に市内下町にあった中世城郭 部垂城跡(現大宮小学校)や周辺の城が戦乱の舞台となった佐竹氏一族の内紛で、これにより部垂城は佐竹本家に攻め落とされ、江戸時代を待たずに廃城となりました。明治時代以後は、大宮尋常高等小学校や実践女学校の敷地となり、土塁や堀など、城の痕跡はほとんど失われたと思われていましたが、このたび刊行された『常陸大宮市史 資料編2』では、現在の城跡や古文書から、部垂城のかつての姿と部垂の乱の実像について、新たな視点を提示しています。
5月13日に開催した刊行記念シンポジウムでは、編さんを担当した古代・中世史部会の専門調査員である佐々木倫朗氏が「部垂の乱の歴史的意義」と題した基調講演を行い、それぞれの専門分野から4人の講師が部垂の乱についての報告を行いました。また、後半のパネルディスカッションでは、来場者から多くの質問が寄せられ、地域の歴史への関心の高さがうかがわれました。
続く5月27日(土)には、部垂の乱の最終決戦地となった部垂城跡を最新の研究をもとに紹介し、歩いて見学するヒストリーツアーを開催しました。これまで知られていなかった部垂城の遺構や周辺城郭との関連など、専門家の解説を聞きながら見学し、部垂の乱の痕跡やその伝承について理解を深めました。
今後も、市史編さん事業として、常陸大宮市の歴史を学び、紐解くイベントを開催しますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
▲佐々木倫朗氏による記念講演
▲刊行記念シンポジウムでのパネルディスカッション
▲ヒストリーツアーでは、部垂城跡に現存する土塁や堀跡、部垂義元の顕彰碑などについて解説を聞きながら見学しました。
▲部垂城の北側の岩崎用水沿いからも城跡の遺構を見学。これまで知られていなかった部垂城の姿を確認することができました。